
コラム
『何を食べるか』で未来は変わる?寿命の違いから考える食事のチカラ
「日本人は平均寿命が長い」——これは世界中によく知られている事実です。その大きな理由として、私たちが日常的に口にしている「和食」の優位性がしばしば挙げられます。
たしかに、伝統的な和食は魚や豆腐、野菜、海藻、発酵食品が中心。洋食に比べて脂質やコレステロールが抑えられ、中性脂肪の蓄積や脂肪肝、糖尿病といった生活習慣病のリスクを低く保ちやすいという特徴があります。一汁三菜を基本とした健康的な食文化は、まさに日本が誇る長寿の土台と言えるでしょう。
なぜ同じ日本国内で「寿命の差」が生まれるのか?
しかし、ここで一つ興味深い疑問が浮かびます。これほど優れた和食文化を持つ日本国内においても、地域によって平均寿命に差があるのはなぜでしょうか。
例えば、かつて「世界一の長寿地域」として知られた沖縄県と、雪が多く寒い東北などの地域とでは、平均寿命や健康寿命の傾向が異なります。
この地域差に大きく関わっていると考えられているのが、「塩分摂取量」と「食生活の変化」です。
寒い地域の課題:知らず知らずのうちに塩分過多
寒さの厳しい地域では、体を温めるためや食品を長期保存するために、塩蔵品や濃い味付けの汁物・漬物を好む傾向がありました。塩分の過剰摂取は高血圧を引き起こし、血管に負担をかける大きな要因となります。
沖縄の長寿の知恵と現代の課題
一方で、沖縄の伝統料理(琉球料理)は、実は減塩の素晴らしい手本でした。豚肉や昆布、鰹節からじっくり旨味(だし)をとるため、塩や醤油に頼りすぎなくても美味しく食べられる工夫がされていたのです。
しかし戦後、欧米風の食習慣が普及したことで、手軽なファストフードや脂質の多い洋食が増加。伝統的な出汁文化から離れてしまったことが、近年の健康課題の一因とも言われています。
今日からできる!塩分を抑える「出汁(だし)」のすすめ
減塩と聞くと「味が薄くて物足りない」「我慢しなければならない」と思いがちですが、無理に塩を減らす必要はありません。
沖縄の伝統料理が教えてくれるように、「塩分を減らす代わりに、旨味を足す」のが最大のコツです。
鰹節や昆布、煮干しでしっかり出汁をとる
干し椎茸や豚肉・鶏肉の旨味を活用する
仕上げに酸味(レモンやシークヮーサー)や香辛料(ごま、生姜、ハーブ)を加える
出汁の効いた料理に慣れてくると、舌が本来の豊かな味わいを感じ取れるようになり、自然と少ない塩分でも大満足できるようになります。寒冷地をはじめ、塩分が気になっている方にこそ試してほしい健康習慣です。
「食事は体の材料」という原点に立ち返る
私たちの体をつくっている細胞は、すべて日々の食事から取り入れた栄養素で構成されています。家を建てるのに良い木材やレンガが必要なのとまったく同じで、「食べたものがそのまま自分の体の材料になる」のです。
どんなに医療が発達しても、毎日の食事で血管や内臓に過度な負担をかけ続けていては、健康な体を維持することはできません。
洋食の良さを楽しみつつ、脂質をコントロールする
出汁(だし)の旨味を活かして、無理なく減塩する
加工食品や油の摂りすぎに気を配る
地域の長寿データをひもとくと、こうした日々のちょっとした工夫の積み重ねが、数十年後の健康状態を分けることが見えてきます。
「今日なにを食べようか?」と考えるとき、それは単にお腹を満たすだけでなく、「未来の自分の体をつくる作業」をしています。出汁の旨味を上手に使いながら、自分自身の体の材料にちょっとだけ気を配ってみませんか?
【この記事の監修・執筆者】
菅原 脩平(すがわら しゅうへい)
菅原内科医院 副院長
【資格・所属】
- 日本内科学会:認定内科医・内科指導医・総合内科専門医
- 日本肝臓学会:肝臓専門医
- 日本消化器病学会:消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会:消化器内視鏡専門医
- 難病指定医 / 緩和ケア講習修了 / JMECC修了
- 福岡県医師会 会員
【略歴】
医学部卒業後、基幹病院での勤務を経て、現在は福岡市南区大橋にて「菅原内科医院」の副院長を務める。多世代にわたる医家としての知見を活かし、大橋エリアの皆様のホームドクターとして、一般内科から生活習慣病、専門的な消化器疾患まで幅広く診療を行っています。
【 Clinic Info 】
菅原内科医院(西鉄大橋駅から徒歩圏内)
▶︎ 福岡市南区大橋の菅原内科医院 公式HP
\ 医院の日常やお知らせを更新中! /






